ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人
ぼくは煙草に入れたネタを和人さんに渡した。
『わりーな…等がパクられて引っ張れなくなっちゃってよ…』
等さんは売人だ。
弥生がヤバいとか言ってたのはこれが原因でもある。
『おめぇーも、たまにはキメてみればどうよ』
『いや…俺はいいっすよ』
『弥生元気かよ…』
『あー 相変わらずじゃないすかねぇー』
和人さんはこのネタが弥生経由で入ってる事は知らない。
教える訳にはいかないのだ。


馬鹿だから…


和人さんは直ぐに帰っていった。
よっぽどネタがキレてたのだ。
ぼくは薬だけは手を出したくない。
それは松下の事があったからだ。
弥生もその事があって一線は超えない…
知っている奴は超える事はできない…


『ぶん太…金貸してくれよ…』
松下は中学の同級だった。
弥生と一番親友だった友美が松下の彼女だった。
『貸すのはいいけど、おめぇー返せんの?』『明日返すよ…友美が持ってくっから』
『明日、明日ってすぐ返した事ねぇーじゃんよー』
『…頼むよ』
『松下…友美がかわいそうだろ、ソープで働いてんのも噂になっちゃってんぞ…おめぇーの事だからまともに働けとか言わねぇけど、ちっと考えた方がいいんじゃねーの?』
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