ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人
『ぶん太さん…相談あるんすけど…』

健からだった。
健とはミンクで飲んで依頼だ。
あれから2ヶ月位たつのだろうか…

『なんだよ、あらたまってやがって』

今のシノギ辞めようと思ってんすけど…

今のシノギ…

ぼくたちはゴト師で食えなくなってから半年程遊んだ後、偽造カードでの仕事をしていた。
ぐっさんから紹介してもらった中国人からスキミングされたカードを受けとる。

打ち子だった連中達が12~3人は残っている。

一組2~3人でグループを作る。

パソコン、ゲーム機、商品券、ブランド物の時計やバック。

買い取る業者もいる。全国何処へも行く。

換金率は60%位で安いがもともとのカードは1枚3万円程度だ。

健は相変わらず、使える奴だ。

その健が突然辞めるとは…

『トラックでも乗ろうかと思ってんすけど…』

『トラック?キャハー…お前がトラック!無理無理!今更お前がまともに仕事しようとか…熱があるとしか思えー…』

『…』

『ん…マジなの?』

健は答えなかった。
答えなかったが、その顔は真面目に考えている事は直ぐにわかった。
気のせいか、ぼくを見る眼がキラキラして力強ささえ感じた。
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