ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人
代打のコールが監督より審判に…

聞いた事が無い選手の名前がアナウンスされる…

『何や!だれ?なんや、ようわからんけど代打にでとるんやから、まっとにかく
1発かましたれ!』

1人のお客が言う。

ぼくも同じ気持ちだった…

そう考えているうちの出来事だ、この無名の選手…

『よっしゃー!!』

全員が立ち上がった!
代打サヨナラスリーランだ!

ぼくはこの店のおっさんの背景もあり涙が止まらなかったのだ。
そして、これ程野球が面白いと思った事はない。


ぼくはホテルにもどった。
戻ってからも身体が火照っていた。

…でも飲みすぎていた。


翌朝、チェックアウトして外へでると、おっさんが朝から玄関の掃除をしていた。

『おう!おはよ!昨日はおおきにやで!またこっちきたらいつでもよっていきぃや!』

『それから…早よ商売考えんと…上さんに逃げられるで!』


『こっちへ来た際には、また寄らして貰いますわ!』

『関西弁…もうちょっとやな、はっはっはっー』

こんな気持ちになったのは初めてだった。
そして戻ったら健の奴を祝ってやる…子供ができる…所帯を持つ…いろんな事が自分には無い感覚になっていた。
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