ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人
ぼくは健に祝儀袋に入れた100万を渡した。
祝儀の多さに健は多少びっくりしてたが一旦祝儀として出したものを引っ込めるような
人間ではない事も知っている。

そのまま受取りつつ、ぼく達はバカっ話をしながら時々、仕事の話を混ぜる。

裏から弥生が後ろ手にエプロンをしながら登場。

『よっ ぶん太久しぶり!会いたかっただろー』

ぼくは無視した。

『さつき!ぶん太に御祝いガッポリもらっときなよ!』

カウンターでさつきの相手をしだした。

『ねぇねぇ 女の子がいいねぇ~、しかも双子とか良くない?名前とかは、もう考えてんの?』

弥生は自分の事のようにさつきとはしゃいでいる。


『ぶんさん…ホント現場大丈夫すか?』

…正直、健ほど使える人間はいない。
健を使えなくなるのは痛いのだ…

『ぶんさん、自分が堅気の商売入るから言うわけではないんですけど…』

『ん…?』

『カードのシノギ…やばいかもしれないっす』

『なんか情報入ってのか?』

『君津にいる買い取り屋あるじゃないすか…初めての客であれこれ聞いてったおやじが
いるらしんすよ…しかもぶんさんパクッた刑事に似てるんすよ…話聞くと』

…自分の中でもこのシノギは引け目があった。
潮時かもしれない事も感じていたのだ、まして頼りになる健が手を引くとなると余計に
そう思う。

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