ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人
『おう!久しぶりだな、ぶん…』
『どうもっす…』

若い衆が2人、あとは姉さん(奥さん)がいる。
『ぶんちゃん久しぶりねぇ』

姉さんはミンクのママと同級生の人だ、何かと噂を聞いているらしい人だ。
ミンクのママもいい女だが、姉さんも中々の美人である。

部屋の奥では3台の電話で何やら電話を受けている。

『呑むか?』
『いや、いいっす…昼間ずっと呑んでて起きたばっかなんすよ…』『そっか…パクられて以来か?会うの』
『そうっすね…あん時は参りましたけど』

姉さんがイチゴを出してくれた。
『ぶんちゃんイチゴ好きでしょ』
『あっどうも…大好物です』

食べながら思いだす。初めてミンクで呑んだ時、酔っぱらって姉さんの部屋に泊まった事があった。

もちろん和人さんと一緒になる前の話だ。

姉さんもそうとう酔っていた。

…ぼくはその日、姉さんとヤッてしまったのだ。
口が裂けても和人さんには言えない。
間違いなくこの町には居られなくなる。

ポン中とは言え、ヤクザだからだ。

『最近どうよ?』

『不景気っす…見れば解るじゃないすか…』
『んで?どうすんの?…俺ん所の若い衆になっちまえよ』

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