ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人
なんとなく気が進まなかったが、さつきの運転で街へ出た。
初めて行くお好み焼きの店だった。

『ここ、健ちゃんと良く来るんだけど美味しいよー』

『クリスマスっぽくねぇーなぁ…』

そう言ったが実はこういう店の方が気が楽だった。

変に気取った如何にもクリスマスです、という店よりは…

『大分でっかくなってきたな…年明けで直ぐだっけ?』


『うん!15日が予定日』
『みんなに女じゃねぇかっていわれんすよ』


『へー…健は?どっちが欲しいの?』

『絶対男っす!』

『絶対女っす!』
間髪いれずにさつきは言う。

話しながら健の顔が優しくなったような気がしていた…


2時間位居ただろうか、ぼくは用事があるからとタクシーを呼んだ。

『え?ぶん太さんまだいいじゃねぇすか』

ぼくは2万円を置いて店を出た。
最後までまだ飲みましょう!とか言われたがやつら夫婦に気を使わせるのにも疲れていた。


…タクシーに乗る。健とさつきに見送られて。

200メートル位走った辺りか…
ぼくは運ちゃんに交差点を左に曲がった所で止めさせた。

運ちゃんは不機嫌そうだったが3000円やったら喜んで去って行った。
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