ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人
はじめての恐怖
大晦日。

ぼくの中では別段変わった事はなかった。街やテレビの中ではいつもよりはしゃいでいる感じ。


ソファーのとなりに座ってテレビ見ているコイツもなんだかはしゃいでいる。

『なんかさー今年の紅白は華がないよねぇ華が!』

『…』

『NHKもさぁ、気合い入れろっつう!永チャン出すとかさぁ』

『…』

『明菜の番まだかなー』

毎年恒例の大晦日の紅白。
弥生がこうしてくるのも恒例だ。
この後そばを食べ、近所の神社へ御参りに歩いて行く、コレも毎年恒例なのである。


そしていつものように出かける。
神社へ上がる長い石段は初詣の人で下まで一杯だ。

この石段を一歩づつ上がって行く。

『寒いねぇ~…』

言いながら弥生はぼくの左腕に絡みついてくる。


…端から見るとカップルか夫婦か…
ぼくも弥生もそんな感覚は全くないのが可笑しい。

むしろ今、左腕の肘が弥生の胸に微妙にあたっている事がなんだか心地よい。


…しかし…
毎年きてるがぼくはなにをダラダラ御参りをしているのか…
今年は良い年にしたい…

去年ほど最悪な年はないな…なんか一発当ててのし上がらないと。
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