ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人
そこまで知ってて拉致ったんかよ…


『なんだか知んねーけど、いきなり拉致るのは無しだろぉ、この前の一件で用があんなら来てくださいって言ってくれたら来てやったのによ』

『しかも、体中痛えし…お返しにしちゃ多くねぇ?おっさん?』


“おっさん”は財布から5万を出しぼくに向かって投げた。

5枚の福沢さんが宙に舞う。


ぼくはためらわずに拾い始めた。


ちょっとムカつくが金さえ返せば別によい。


最後の1枚に手を伸ばした時…


ズキューン!!


ぼくは当たっていないのに指先が痛かった。


『わいらのシマでチョロチョロすな!そう言うとるだけや』

『俺だって素人だけど事務所通して商売してんだよ、おっさんに言われる筋合いねぇけどな』


ズキューン!!


…本当はビビっていた。
和人さんのチャカを見たことはあるが、勿論撃たれた事は無い。


ここでなんか言ったら3発目は本当に…

中国人のマフィアも付いてそうだし…


その時玄関のチャイムが鳴った。

若い衆の1人がモニターを見て言う。

『会長が着いたみたいです』


『ん?早いんと違うかぁ…1本早い便に乗ったんやろか…おう!兄さん、運がええのう』
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