ぼくのまわりにいる悪い人とぼくの中にいる悪い人
はじめての涙
木更津駅で降ろされた。


夕方の帰宅ラッシュの人々がトランクから出てくるぼくを不思議そうに見る。


なんだかトランクに入ったせいか、車酔いしてフラフラしていた。


タクシーで家までかえる。


携帯を壊されてしまった事で仕事が止まってしまっている。

パソコンを開け、顧客データと銀行確認を合わせないと…


翌朝、ミンクにも電話した。


『もうっ!何やってたのよ…またワイドショーでやってるよ』


…テレビ
ワイドショーお馴染みの現地レポーターが現場からの中継だ。


この世に間もなく産まれてくる筈であった命とその母親の命。
2人の命を奪ったひき逃げ犯の現場検証が行われていた。

警察官に腰から縄を引かれながら、ひき逃げ犯は当日のの説明をしているようだった。


近くを帽子を深くかぶり、ギターケースをもった男…


男はケースから1本の日本刀を抜き、走り出した。


警察官と格闘しながらも、男はひき逃げ犯の太ももに日本刀を突き刺した。


『テメェ!絶対ぶっ殺してやっかんな!』


男は警察官に押さえ込まれながらも叫び続けていた。



ワイドショーはまるで他人事なコメントをしゃべりながら…
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