メモリップ
真っ黒な空に、星が輝いている。


香織は、二階建てマンションの階段を上り、一番奥の部屋のドアノブに鍵を回してドアを開け玄関に入ると、パチンと電気のスイッチを押した。

背後で、バタンとドアが閉まる音がする。


靴を脱ぎ、ワンルームの部屋の奥まで歩くと、香織は鞄を床に起き、緑色のカーペットの上に座る。


そして灰色の低いテーブルの上に 散らばっている物の中から、銀色の写真立てを手に取った。


「…………」


香織は無言でその写真を見つめる。


写真には緑の木々を背景に、一人の男性と女性が写っていた。


女性は、香織そのものだった。
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