誘惑はキスから始まる

私の声に男はクスッと笑い

「……約束通り、いっぱいキスしてやるから焦るなって…」

焦ってなんかいない…

この、なんなのかわからない唇の疼きをあなたとのキスで、もっと私を満たしてほしいだけなのに…

男の首に腕を絡め見つめる。

「まったく、その顔反則だろ…キスだけじゃ終われなくなっても知らないぞ」

そう言って私の体を抱き上げ、靴を脱ぎ捨てるように蹴り投げ、ドカドカと奥へ進む男に必死にしがみついていた。

どこへ行くのかと思えば、私を抱き直し

「足、開けよ」

と言ってソファの上にドサッと座る。

必然的に私は、男の膝の上に向かいあったまま座った型になってしまう。

この体勢、恥ずかしすぎるんだけど…

男と視線を合わせられない。

男の首に絡めた手を解き、男の肩に手を添えて膝で立とうとするも腰をグッと押さえられ立ち上がれない。

「逃げんなよ」

「……だって、この体勢恥ずかしすぎ」

「キスするんだから、この体勢が一番いいんだよ」

私の後頭部に男の手が回り、引き寄せられるように男の唇に唇を重ねた。

さっきの焦らすキスとは違って、今度は徐々に淫らになり激しさを増していく。

溢れる声さえも飲み込んでいくキスは、脳内を麻痺させ何も考えられなくさせる。

緩む口から顎をつたう2人の蜜を男は舌で舐めとり、また、唇を重ね始める。

どれだけキスしていたかわからないほど男とのキスは濃密なのに…もっと、もっとと欲張りに求めてしまう。

疼きは消えることもなく、キスが激しさを増していく事に体中に回る。

熱くなる頬

熱くなる体

そして…下肢に感じる違和感と疼きを逃す術がわからない。

「……ぁ、はぁ……ん。やっ…」

「美咲…キスだけで感じてるんだろう⁈
俺も、お前とのキスが気持ちいい。でももっと…進んでいいか?」

「……」

それってエッチするってことと脳内をよぎっているのに…言葉にできない。

「美咲の嫌がることはしない…ただ、イかせるだけだから…疼いて辛いだろう⁈我慢できるか?」

なに?
疼いて辛いって、どうしてわかるの?

ボーとする頭で考えても答えは出ない。

「できないだろう⁈腰を押しつけて疼きを逃そうとしたって収まらい」

男の言葉にやっと理解できた瞬間、自分の無意識の行動にぼっと頬が更に熱くなる。

「……やっ…私、何してたの⁈」

半泣きの私の瞼にそっと唇を触れて、微笑む男。

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