希望のあしたへ
「いよいよね、無事に手術が終われば良いけど」

「心配ないよ、先生も大丈夫って言ってくれてるんだろ？」

そう励ます浩史であったがその表情は大変こわばっていた。

「確かにそうだけど、でも他でもない心臓の手術なのよ、心配するのは当然よ」

「それはそうなんだけど、でもここで俺たちが心配していても仕方ないよ。それよりよく今回陽菜は手術する気になったな？　中学の頃はあれほど怖がって手術することが出来なかったのに」

ここで浩史は懐かしい名前を聞く事となった。

「それね、実は亨君のおかげなのよ」

「亨君て誰の事だ？」

「いたでしょ？　昔うちの隣に住んでいた亨君よ」

「あぁあの亨君かぁ、なんで今さらあの子なんだ？」

「あの子今歌手をやっているの。翔っていう大スターがいるの覚えてない？　確かデビューしたのはお父さんが転勤する前だったと思ったんだけど……」

「あまり良くは覚えてないけど確かそんな名前の歌手がいたような気がしたな？　その翔が何なんだ？」

「翔は今すごい大スターなんだけど、コンサートのリハーサル中にけがをしてたまたまこの病院に入院していたの」

ここまで聞いたところで陽子の言いたいことが分かったような気がした浩史。
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