希望のあしたへ
【第十一章】『手術と回復』
その頃亨のいる音楽祭の会場ではグランプリの発表が今まさに行われようとしていた。

『さあいよいよグランプリの発表です。ジャパン音楽祭グランプリは、柊翔さんに決定いたしました』

会場のどよめきと歓声の中壇上に上がると司会者にマイクを向けられる亨。

「翔さんグランプリおめでとうございます。今シーズンは大きなけがもございましたがけがの状態はいかがでしょう」

「皆さんご心配をおかけしました。ですがもう大丈夫です！」

「では受賞した今のお気持ちをどうぞ」

「みなさん僕を応援して頂いてありがとうございます。このような大きな賞が頂けたのもみなさんの応援のおかげだと思っています。本当にありがとうございました」

「二年連続での受賞となりました。これについてはどうでしょう？」

「ほんとにありがたい事です。ファンの皆さんの応援がなければこのような結果にはならなかったと思います、本当にありがとうございます。それなのに先日のコンサートでは僕のけがの為に何本もの公演が中止になってしまって申し訳ありませんでした」

深々と頭を下げると更に続ける亨。ここで亨は大観衆の面前でとんでもない事を口にしてしまう。
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