希望のあしたへ
「なんだ千夏ちゃんも亨兄ちゃんのファンだったの?」

突然出てきた亨という名前に、矢嶋の頭の中にいくつものクエスチョンマークが浮かんだ。

「誰亨兄ちゃんて、あたしがファンなのは翔さんよ」

「千夏ちゃん、実はその二人同一人物なの」

由佳の言葉に不思議そうな表情を浮かべ訪ねる矢嶋。

「どういう事?」

矢嶋の問いかけに陽菜が応えるが、その声はどこかうれしそうでもあった。

「あのね千夏ちゃん」

「なに、なんか嬉しそうね、それよりどういう事なの翔さんと亨さんという人が同一人物って」

「嬉しいも何もないわよ。今翔の所に行ったらね、その人あたしの幼馴染だったの」

「えっそれどういう事?」

千夏が不思議そうな顔をしていると、そこに補足するように説明をはじめる由佳。

「だから、翔の所に行って陽菜が自己紹介をしたの。そしたら翔が気付いて、翔も自分の本名を言ったからお互いに幼馴染だって気付いたのよ。小さいころよく遊んでもらっていたんだって。でもある日翔の家が引っ越してしまってそれっきり会えなかったみたいよ」

この話を聞いた矢嶋も思わず興奮してしまった。

「もしかして翔の本名が亨って名前なの?」

「そう言う事」

由佳の返答に矢嶋が続く。

「それで何年かぶりの再会って訳? いやぁドラマみたい、そんな事ってあるのね。それでどうしたの?」

興奮気味の千夏からの問いかけに、由佳はもう一度陽菜に変わり続きを話し始めた。
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