希望のあしたへ

 ところがその後、陽子の脳裏にある懸念が浮かんだ。

「だけど大丈夫? 亨君は今では翔として活躍して大スターじゃない、そんな亨君のもとに行って何か言われない?」

「大丈夫よ、ちゃんと千夏ちゃんには許可をもらったから」

「確かに矢嶋さんは優秀な看護師かもしれないけど、どんなに優秀な看護師だからって矢嶋さんにはそんな権限ないでょ」

「でも千夏ちゃんは行っても良いって言ってくれたわ」

「そうなの? それならもう何も言わないけど。とにかく許可をもらっているのなら行ってみましょう」

そう納得したもののまだ頭の片隅に疑問が残っていた陽子であったが、久しぶりに亨とあってみたいとの思いが強くなってしまい亨のもとに行く事を決断してしまった。

「良いのありがとう、お願いねママ」

こうして母に車椅子を押してもらいながら翔のいる病室へと向かう陽菜。
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