希望のあしたへ
「それよりさぁ、今この病院にその翔が入院しているんだって、見に行ってみない? あなたの大好きな翔に会えるかもよ」

「ほんとそれ、会ってみたいなぁ? でもそんなの無理よ、あの大スターの翔でしょ、簡単に会えるわけないじゃない! それにそういう人たちって簡単に会えないからいいんじゃない。それより入院ってどうしたのよ、どこか悪いの?」

憧れの翔が入院していると聞いて心配になる陽菜。

「大丈夫よ心配いらないわ、テレビの話ではただの骨折らしいから。確かに骨が折れているわけだから怪我としてはたいした怪我かもしれないけどあんたが心配している様な命にかかわる様な病気じゃないみたいよ」

「そう、それならよかった」

命にかかわる病気じゃないと聞いた陽菜はほっと胸をなでおろした。

「まったくあんたの方がたいした病気なのに人の心配なんかしている場合じゃないんじゃないの?」

「確かにそうなんだけどさ、なんか翔が入院しているって聞いたら心配になっちゃって」

「それでどうするの? 行くなら車いす押すわよ」

一時心が揺らいだが、それでも陽菜は由佳の申し出を断ってしまう。

「さっきも言ったじゃない、有名人のいる病室なんて簡単に行けないわよ。だいいちその前に行っても良いか許可貰わないと」

「確かにそうね、ちょっと待っていて今聞いてくるから」

そう言うと由佳は病室を出るとナースセンターに向かった。
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