希望のあしたへ

『新たなる目標』

その後翔は思い出したように陽菜に声をかけた。

「そうだ陽菜、そこの引き出し開けてくれるか?」

言われるままにベッド脇の引き出しを開ける陽菜。そこには以前言っていたあのデジタルオーディオが入っていた。

「何これ、デジタルオーディオ?」

「この前言っていただろ?」

「何よほんとにくれるの?」

「もちろん、約束しただろ? 一応デビュー曲から最新曲まですべて入っている。他にも好きな歌手の曲とかあったらダウンロードしてやるから言ってくれ」

「ううん良いの、亨兄ちゃんの曲さえ入っていればそれで十分。ありがとう亨兄ちゃん」

「すぐに使えるように一応フル充電してあるから。ところで陽菜パソコンて持ってないよな」

「持ってないわね、ちょうどほしいなとは思っていたんだけど」

陽菜の言葉に陽子は驚きをもって尋ねる。

「そうなの陽菜、今までそんな事言った事なかったじゃない」

「つい最近の事なんだけどあたしいろんな小説を読んでいるでしょ? そのうちに自分でも書いてみたくなったの」

陽菜によるまさかの発言に驚く陽子。

「そうだったの? まさかあなたがそんなことを考えていたなんて思わなかったわ、なんか驚いちゃった。あなたがそんなことを考えていたなんてね」

「あたしなんかが小説なんて書いたらおかしいかな?」

「どうしてあたしなんかって思うの? 良いじゃないあなたが小説書いたって。全然おかしくなんかないわ、ママ応援するわ」

ところがその後俯いてしまった陽菜は小さな声で呟いた。
< 32 / 119 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop