希望のあしたへ
「でも良いよ、あきらめるわ。パソコンなんて安い買い物でもないんだし」

「どうして簡単にあきらめるの? 良いわ今度電気屋さんで買ってきてあげる」

それでも遠慮する陽菜。

「良いって言っているじゃない。ただでさえ入院費に沢山お金かかっているのにこれ以上迷惑かけられないわ」

「何言っているのよ、あなたはそんなこと考えなくて良いの」

そんな時、二人の会話を聞いていた亨がまさかの嬉しい提案をしてきた。

「なあ陽菜、そのパソコンて新品じゃなくてもいいか?」

亨の問いかけに応える陽菜であったが、その表情は疑問に満ちていた。

「多分文章を書くだけだと思うから別に良いけど、それがどうしたの?」

「だったら俺が使っていたのをやるよ、最近新しいのを買ったばかりで余っているんだ。買い替えたと言ってもまだ三年くらいかな? 別に壊れた訳じゃないからまだ十分使えるぞ」

「ほんと亨兄ちゃん、頂けるなら何でもいいわ」

「ああほんとだ、だからわざわざ買う必要なんかないぞ! 今度マネージャーに言って持ってきてもらうから待ってろ、一応データだけは消させてくれな?」

「もちろん、ありがとう亨兄ちゃん」

「ただ小説を書くとなるとプリンターも必要になって来るだろ、それはどうするんだ?」

亨の言葉に思わず陽菜はハッとした。

(プリンターなんていらないと思うけどな、あたしは自分で書いていければそれだけで満足なんだし……)
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