希望のあしたへ
その思いをストレートに告げる陽菜であったが、亨からはまさかの返事が返ってきた。

「プリンターなんていいわよ、パソコンがあれば十分。それにパソコンがあればそこから読めるわ」

「なんだよ俺には読ませないつもりか? それにせっかく書くんだから文学賞にも挑戦してみたらいいのに」

(文学賞なんて応募したって無理に決まってるじゃない。でもそのうち応募してみたいって思うのかな? 腕試しにもなるだろうし、そうなると今はよくてももし文学賞に応募してみたいってなった場合印刷しないとならないじゃない。そうなったらプリンターが必要になって来るわ。でもやっぱりあたしなんかがそんなのに応募したって無理だろうな?)

「亨兄ちゃん読んでくれるの?」

「もちろんだよ、陽菜がどんな小説書くのか今から楽しみだよ」

陽菜は作品を読んでもらえると聞いてうれしい反面、恥ずかしさもあった。

「ありがとう、でも何だか恥ずかしいな?」

「何恥ずかしい事ある、文章を書くのも一つの才能だぞ!」

「お言葉ですけどまだあたし一文字も書いてないんですけど……」

「確かにそうだな、でもこれから書こうとしているんだろ?」

(それはそうだけど、これから初めて小説を書こうとしているあたしに才能も何もないじゃない)

「でも確かにこの先プリンターは必要になるかもね。一応確認はしてみるけどいくら個室とはいえ病室にプリンターまでは置けないわ」

「なんだ陽菜の病室って個室なのか?」
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