希望のあしたへ
「看護師さん」

「はいなんでしょう」

三枝(さえぐさ)陽菜ですけど、ちょっと散歩に行っても大丈夫でしょうか?」

「お待ちください、主治医の栗原先生に確認してみますので」

内線電話で陽菜の主治医である栗原医師の下に電話をかけた看護師は、数分後電話を切って由佳の方に向き直った。

「このところ落ち着いているから大丈夫だそうですよ。ただし最近日差しも強くなってきたことですし、あまり無理しないで少しでも調子悪くなってきたらすぐに戻って来てくださいね。あとあまり長居はしない事、これだけは守ってね」

「分かりました、ありがとうございます」

その後すぐに陽菜の下に向かう由佳。

「陽菜大丈夫だって、行こう」

「ほんと? 良く許可してくれたね」

「まあね」

「翔の所に行けるんだぁ、なんかうれしいなぁ。でもほんと何度も言うようだけどよく芸能人の所に行くの許してくれたね、一体なんて言ったの?」

「バカねえ、正直に翔の所に行くって言って許してくれるわけないじゃない、ただ散歩に行くって言っただけよ」

「そうなの?」

まさかの由佳の言葉に驚いてしまう陽菜。

「そうよ、ウソも方便て言うじゃない、こういうのは上手く使わないと。さっ行くわよ」

(良いのかなほんとに)

そう思いつつも陽菜は由佳に車椅子を押されながら翔のいる特別室に向かう。
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