希望のあしたへ
「楽しみじゃない? あんたあれだけ翔のファンだったのに顔も見た事なかったんだから」

「確かに楽しみではあるけどどんな顔しているんだろうって想像する楽しみは無くなっちゃうかな? やっぱりかっこいいのかな、どうなの由佳」

「そうねぇ……」

そこまで言ったところで由佳の言葉を遮って来た陽菜。

「あっ待ってやっぱり言わないで。楽しみがなくなっちゃう」

「何よ陽菜ったら自分から聞いといて、そんなに楽しみなの?」

そうこうするうちに翔のいる特別室の前までたどり着いた二人だが、考える事は皆一緒のようで特別室の前にはすでに多くの患者やその家族などが押し寄せていた。

「あぁさすが翔だわ、こんなに大勢いたら入れないじゃない」

由佳が呟いているとそこへ看護師がやって来た。

「はいはいみんな、翔さんのご迷惑になるから自分の病室に戻って。さぁ陽菜ちゃんも」

そう看護師に促される陽菜であったが、由佳がそれに食い下がる。

「えぇあたし達たった今来たばかりなのに。一目だけでも会わせてよ、この子翔の大ファンなのに一度も顔を見た事が無くていつもラジオの声だけで我慢しているのよ」

「そう言われてもご迷惑をかける訳にいきませんから」

そんな看護師の声を聴いた陽菜は遠慮がちに小さな声で由佳に話しかけた。
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