希望のあしたへ
亨のいる病室までたどり着くとドアを軽くノックする陽菜。

「亨兄ちゃんおはよう、陽菜だよ」

「陽菜か? どうぞ入ってくれ!」

部屋に入って来た陽菜の姿を目にした亨は軽く驚いてしまった。

それもそのはずである。いつもは由香や陽子に車椅子を押してもらってきていたのがこの日は一人だったのだから。

「どうしたんだ今日は、いつもより早いじゃないか、それに一人だし……」

「昨日あたし来られなかったでしょ? だから早く亨兄ちゃんに会いたくて」

「そうだったんだ、それよりどうしたんだ昨日は、何かあったんじゃないかと思って心配したんだぞ!」

そう問いかけた亨の表情は、その言葉通り幾分心配そうな顔をしていた。

そんな亨の問いかけに対し申し訳なさそうに小さな声で応える陽菜。

「ごめんね心配かけて。昨日は少し熱が出ちゃって、それでここに来るのを止められちゃったの」

「なんだそうだったのか、それでもう大丈夫なのか?」

更に心配の表情で尋ねる亨に対し陽菜は一転して元気な声で応える。

「大丈夫! もう元気よ」

「そうかそれなら良かった。あまり無理するなよ」

「分かったわ、気を付けるね」

その後は二人で様々な話をし、三十分ほどしたころ陽菜は聞きたくなかった言葉を聞くこととなる。
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