希望のあしたへ
「どうしたの今日は、少し残っているじゃない、いつもは残さず食べるのにどこか具合でも悪いの? この前熱が出た影響かな?」

「いえ、そういう訳じゃないんだけど食欲なくて」

「そう? 熱も下がったばかりなんだしどこか悪いならすぐに言ってね」

「はい分かっています。大丈夫ですから」

「そう? 少しでもおかしかったらすぐにナースコール押すのよ。それとこれ食後のお薬ね、きちんと飲むのよ」

「分かっていますって、大丈夫だからそんなに心配しないで」

この返事を聞きつつテーブルの上に薬を置いた矢嶋。

「それより千夏ちゃん、良かったじゃない亨兄ちゃんとあえて」

突然の陽菜の言葉に思わずどぎまぎしてしまう矢嶋。

「何言ってんのよ陽菜ちゃんたら、今そんなこと言わないでよ、急に緊張してきちゃったじゃない」

二人の会話になんだろうと尋ねる亨。

「どういう事それ?」

「千夏ちゃんね、翔の大ファンなんだって」

「そうだったの千夏ちゃん」

「はい実はそうなんです! でも大丈夫です仕事とプライベートはきっちりとわきまえていますから」

「やせ我慢しちゃって、握手くらいしてもらったら?」

「何言ってんのよ陽菜ちゃんたら」

「良いですよ握手くらい、ここには僕達しかいないんだから黙っていれば分からないですよ」

そう言って亨が右手を差し出すと『じゃあ握手だけ』一言そう呟いて矢嶋も右手を差し出した。
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