希望のあしたへ
「熱が出たのは心配しなくて良いわ。あの子あなたに久しぶりに再会できてはしゃぎすぎただけなのよ」

これにより熱が出た件については少し安心する事が出来た亨であったが、それでも今回の発作については未だ心配の種が亨の中に残されていた。

「そうだったんですね。それでこの病院で再会した時に聞いたんですが陽菜の病気は移植するしか治る方法がないって本当なんでしょうか?」

「そうねぇ、今のところそれしか方法がないみたい。でもあの子手術が怖いらしいのよ。そりゃそうよね、心臓を取り換えるんだもの怖くない方がおかしいわ。でも勇気を出して移植に踏み切らないと治らないのよね、今度ドナーが現れたらその時は何としてでも説得しなくちゃ」

「そうですね。おばさん俺にも何かできる事あったら言ってください」

「亨君はそんな事考えなくて良いのよ」

そう言った陽子であったが、一呼吸置いた陽子は再び口を開いた。

「ひとつだけあるとすればあの子とこれからも仲良くしてあげてほしいの。それだけしてくれれば充分よ」

「そんな事当然ですよ」

この時亨の頭の中に一つの疑問が浮かんだ。
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