希望のあしたへ
「ありがとう亨君。でも無理しなくて良いからね、あなた大スターなんだから復帰したら忙しくなるんじゃないの?」

「大丈夫です。ただツアーに出たりなどどうしてもこられない日が続くこともあるかもしれません、その時は勘弁してください」

「そんなの良いのよ、来て頂けるだけでありがたいんだから」

「とにかく邪魔になってもいけないですから今日の所は帰りますね。また明日来ます」

「邪魔だなんてとんでもない。でもありがとう待っているわね。だけどほんと無理しなくていいのよ」

「大丈夫です。俺も陽菜の事が心配なのでまた明日来させてください」

「ありがとう亨君」

その後立ち去ろうとする亨に対して何か思い出したように声をかける陽子。

「あっ待って、亨君今ケータイ電話持っているかな?」

その問いかけに踵を返しつつ応える亨。

「今手元にはないですけど持っていますよ、それが何ですか?」

「じゃあダメかしら、もしもの時のためにケータイ電話の番号を聞いておこうと思ったんだけど」

「そうですか、そう言うことなら分かりました。大丈夫ですよ番号覚えていますから。ただ一つお願いがあるのですが」

「何お願いって」

「お願いだからもしもの時なんて事言わないでください! それでは陽菜が死んでしまうみたいじゃないですか」

「そうね、言葉には気を付けるわ。あたしもダメね、そんなつもりは全然なかったんだけど」
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