希望のあしたへ
「陽菜今のは無いんじゃないか? 千夏ちゃんだって悪気がある訳じゃないんだよ、これが千夏ちゃんの仕事なんだ。でもそれだけじゃないぞ! お前の事を思ってうるさく言ってくれているんだろ?」

「そうだよね、あたしもちょっと言い過ぎたかな? 悪い事したなぁ」

「そう思ったら今度千夏ちゃんが来たときにきちんと謝るんだな?」

「うんそうする」

この時翔はふと思い出したことがあった。

「そう言えば陽菜」

「何亨兄ちゃん?」

「プリンターはどうする?」

亨が覚えていてくれたことに感謝しつつも返事をする陽菜。

「先生は良いとは言っていたけど置き場所がないのよね」

その言葉に辺りを見回す亨。

「確かにそうみたいだな? じゃあ今度来るときSDカード買ってきてやるから、そいつに落としてくれたらうちのプリンターで印刷してやるよ。もしもの時のためにバックアップも取っておいた方が良いだろうしな」

「ほんと? ありがとう、でもSDカードに落とすと言ってもあたしやり方わからないわ」

「だったら代わりにやってやるよ、その時にやり方も教えてやる」

「ありがとう亨兄ちゃん、よろしくお願いします」

その後ふと時計を確認する亨。

「ごめん陽菜、そろそろ時間だ、もう帰らないと」

「えぇっもう帰っちゃうの?」

「面会時間も過ぎちゃったし外も暗くなってきた。それに陽菜も千夏ちゃんに言われただろ? あまりはしゃぎすぎないようにって」

「分かったわよ、また来てね、寂しいけどそれまで待っているわ」

「あぁまた来るからな」

そして亨は静かに陽菜のもとを去っていった。
< 86 / 119 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop