希望のあしたへ
その翌日、久しぶりに陽菜の下へ見舞にやって来た亨が扉をノックすると、中にいる陽菜に声をかける。

「陽菜いるか?」

「亨兄ちゃん来てくれたんだね、どうぞ!」

その声に中へと入る亨。

「調子はどうだ?」

「調子は良いわよ、いたって元気!」

そう言うと満面の笑みを浮かべる陽菜。

「そうかそれなら良かった。ところで小説の方はどうなんだ、順調に行っているか?」

「小説ね、最初は順調だったんだけどあともう少しで完結ってところで止まってしまって」

「こんな時は気分転換でもしたらいいんだろうけど、ずっと入院生活を送っている陽菜にそんな事出来ないだろうしな? それとも中庭にでも散歩に行くか?」

「良いわよ亨兄ちゃんは有名人なんだから、そんな事したら大変な事になるでしょ? 後でママか由佳にでも連れて行ってもらうわ」

「そうか?」

そんな時亨はある事を思い出した。

「そうだ陽菜、約束していたSDカード買ってきたんだ。バックアップの取り方教えてやるよ」

「ありがとう亨兄ちゃん、じゃあお願いします」

亨はSDカードの封を開けスロットに差し込むとバックアップの取り方を丁寧に教える。 

一通り教えると亨は寂しそうな表情を浮かべ告げる。
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