希望のあしたへ
「ちょっとライブのリハーサル中にステージから落ちて足を骨折しちまってな、それで今ここにいるわけ。俺もドジだよなぁ」

「そうなんだぁ、早く治ると良いね」

「そうだな、結局ライブも延期になっちまって大勢の人に迷惑をかけちまった。もちろんファンのみんなにも、だからとにかく早く治さないと」

(やっぱり落ち込んでいるのかなぁ? こんな時どう声をかけてあげたらいいんだろう。とにかく何か言ってあげないと……)

そんな風に思った陽菜は、少しでも亨の励みになればと口を開く。

「でも焦る事もないんじゃない、今まで忙しかったんでしょ? 神様が少し休みなさいって言ってくれているのよ」

「確かにそうかもね、ありがとうそう言ってくれて。陽菜がそう言ってくれたおかげで少しは気持ちが楽になったよ」

亨は一番気になっていた疑問を陽菜に尋ねる。

「ところで陽菜の方こそどうしてこんなとこにいるんだ? 車椅子なんか乗っちゃって。やっぱりどこか怪我でもしたのか?」

この時亨の目には陽菜の表情が幾分曇った様な気がした。
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