意地悪なきみの隣。
①**

いつもこうなんです。




9月。
夏休みが明けても、まだまだ暑い。



太陽がジリジリと照りつけ、私たちの肌を小麦色にする。



ゾロゾロと学校に登校する生徒は気だるそうな顔。


…そりゃあ1ヶ月も休みだったら学校がめんどくさくなるよね。


高校生になって初めての夏休みは、思っていた以上に課題が多かった。

部活に入っていない私は、それなりに遊べたんだけど…。
私だって少しだけ、めんどくさいなあって思ってる。



だけど、学校は好き。

友達に会えるもん。



「郁!おはよう〜」



教室に着き、私に話しかけてきたのは市倉陽菜(いちくら ひな)ちゃん。


中学からの友達。


高校も同じで、まさかクラスも同じになるなんて思いもしなかった。


そう私、西野郁(にしの いく)は陽菜ちゃんしか仲良い子がいません。


いないっていうか…他の子とも喋るんだけど、休み時間や放課後を一緒に過ごすのは陽菜ちゃんくらいで…。


本当に寂しい人なんです…。



「課題全部終わった〜?」



「当たり前だよ〜、終わらなかった今日居残りでしょ?」



この学校は『居残り』というペナルティが大好きで、何かあれば


『居残りな〜』

の一言。


夏休みの課題だって、終わらなかったら時間が来るまで教室に残ってやらなくちゃいけない。


そんなのごめんだよ。


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