意地悪なきみの隣。

放課後を過ごしました。




「はーい、行ってらっしゃい」



ドンっと陽菜ちゃんに背中をつよく押される。


痛いよ…。


私の手には体操服が入ったピンクの袋。


ちゃんと洗ってアイロンもかけたから綺麗…なはず!


朝、学校に来るとすでに中島くんは来ていて高橋くんたちと楽しそうにお喋りしている。


あの中に入って体操服を返してこいと陽菜ちゃんは言う。


あ…あれ…あれの中に入るのはさすがに無理があるよっ!


男の子の輪の中にこんな私が入るなんて場違いすぎるっ!



「別に今じゃなくったって…!」



そうだよ。


お昼休みとか、放課後とかまだ時間はあるでしょ?


1人でいるときにサッと返してサッと消えればいいじゃん!



「だーめ。今、今行くの!」



陽菜ちゃんはすごく頑固。


意見を変えてくれない。



「それでちゃんと言うんだよ?お礼がしたいって」



「う、うん…」



体操服を借りたお礼に何かしたくて、陽菜ちゃんに相談をした。


お菓子を買って袋に入れようかなって言うと、すぐに却下された。


…お礼がしたいって言って内容は中島くんに考えてもらえって。


お菓子は絶対に買うな!ってほっぺたをつねられたから仕方なく、うんと頷いた。



「ほーら!行ってこーいっ!!」



「わっ!」



さっきよりものすごい勢いで背中を押されて、見事に中島くんの元へと吹っ飛んだ。


は……恥ずかしい…恥ずかしすぎる。



「西野?朝から元気だな?」



それはどうもありがとう。


…って、そうじゃなくて!


体勢を整えて中島くんを見る。


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