意地悪なきみの隣。
「あ、郁ちゃんついてる」
「え、どこ?」
大和くんが自分の口元をちょんちょんと指さして教えてくれる。
それと同じように私も自分の口元を触る。
「違う、そっちじゃない」
ーグイッ
「っ………!」
テーブルに身を乗り出して大和くんが私の口元に触れた。
すごく、距離が……近い。
沈黙の中、至近距離で見つめ合う。
「……ご、ごめん!ありが………」
「キス、する?」
恥ずかしくてたまらなくて距離をとろうとした瞬間、フォークを持ってる右手首を強く握られた。
そして胸の方へ引き寄せたから、離れた距離がまた縮まった。
この距離が、図書館でのキスを思い出させる。
ドキン、ドキンと胸の音が大きくなっていく。