意地悪なきみの隣。



ゆっくりと近づく大和くんの顔。



体が固まって動かなくなる。




ど、ど、どうしようっ………!






「…………ど、どうしてキ、キスッ……したの?」



とっさに出た言葉に大和くんがピタッと止まる。


そのままゆっくりと離れて、ストンッと座り直した。


頭をポリポリとかいて、ケーキを食べ始める。


その姿はまるで拗ねた子ども。



「お…教えてよ」



「無理」



ケーキを食べ続ける大和くん。


だって…


言ったじゃんか。




「俺が誰かわかったら教えるって……言ったじゃん」



『俺が誰か気付いたら教えてあげる』


そう言ったじゃん。

気付いたんだから教えてくれたって…。



「…………うるさい黙れチビ」



ギロっと睨まれた。


でも、でも、怖いなんて思わない。


だってケーキを食べながら言うんだもん。




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