意地悪なきみの隣。



「郁ちゃん」



驚くように目を丸くする彼女の腕を引っ張り、ずんずんと歩く。



クラスの奴らからはガン見されて、女子からはザワザワと声がする。


いいんだもう。


どーせ俺が郁ちゃんのことを好きだってことくらい、クラスの奴ら皆わかりきってんだから。



郁ちゃんを除いて。



「中島くんだよな?俺、話してんだけど」



郁ちゃんをつれて教室のドアを出ようとした時、さっきまで郁ちゃんの隣にいた男がドアの前に立った。



…なんで俺の名前知ってんの。



「知らねえわ。今は俺がこいつに用事あんの」



だいたい、ずっとこいつの休み時間使ってんだから今日の昼休みくらい俺に渡せよ。



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