意地悪なきみの隣。



「……あ、あの、間宮くん」



俺とこの男の不穏な空気をぶち破ったのは郁ちゃんだった。
オドオドした声から出た名前は間宮。


この男の名前か。



「や…大和くん、私に用事があるらしいから……また今度でいいかな?」



……ほーら、見ろ。


お前より俺を選んだんだぞ?


って、そういうのより、きっと用事があるっつーから優先しただけなんだろうけど。



「……うん、わかった。また今度な?」



ニコッと笑いかけ、じゃあと言って手をポケットに入れながら廊下を歩いて行った。


その姿を確認して俺は再び歩き出す。



< 170 / 214 >

この作品をシェア

pagetop