意地悪なきみの隣。
「……あ、あの、間宮くん」
俺とこの男の不穏な空気をぶち破ったのは郁ちゃんだった。
オドオドした声から出た名前は間宮。
この男の名前か。
「や…大和くん、私に用事があるらしいから……また今度でいいかな?」
……ほーら、見ろ。
お前より俺を選んだんだぞ?
って、そういうのより、きっと用事があるっつーから優先しただけなんだろうけど。
「……うん、わかった。また今度な?」
ニコッと笑いかけ、じゃあと言って手をポケットに入れながら廊下を歩いて行った。
その姿を確認して俺は再び歩き出す。