意地悪なきみの隣。
お構いなく顔を近づける。
郁ちゃんのシャンプーの香りがスンと鼻につく。
少し、いじめてやろうと思ったのに。
「やっ……大和くんのバカ!」
そう間近で叫ばれた。
ビックリした俺は少し顔を離すと、少しだけ涙ぐむ彼女がいた。
眉はきゅっと逆ハの字になって、大きな目で俺を睨みつける。
「寂しいのにっ……!大和くんがいない学校は…つまんないのに!話してなくてもずっと……ずっと…大和くんのこと考えてたのにっ…!」
そう訴える郁ちゃんに俺はポカーンで。
緩まった手からするっと抜けた細い腕は、また訴えながら俺の胸をポカポカと殴る。
「バカァ……!バカは大和くんだよっ!なんで考えちゃうのって考えて…ぐちゃぐちゃなのに!話しかけてこないなんて意地悪しないでよっ…」
そう言って、俺の胸を両手で押す。
あまり力が入ってない俺は簡単に一歩後ろへとバランスを崩した。