意地悪なきみの隣。



そしてできた壁と俺との間からシュルっと抜け出した郁ちゃんはドアを開けてもう一度振り返った。




「意地悪っ!」



目をうるうるさせながら小さく呟き、パタパタと走って行った。




……なんだ、あれ。



きっと今の俺の顔は赤いだろう。




『寂しい』とか『つまんない』とか『考えてた』とか。


簡単にそう言うけど、それってわりと大胆な言葉……だよな?





「いや…バカは郁ちゃんの方だろ…」



1人になった空き教室で呟く。


誰にも拾われないその言葉は少しホコリのたまっている教室で消えた。







郁ちゃん、何で気づかねえの?











それってもう俺のことー…………………。









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