意地悪なきみの隣。
「心配しないでも、中島は喜んで受け取ってくれるよー。だって大好きな郁ちゃんからのバレンタインだも〜ん」
きゃははっと無邪気に言う陽菜ちゃん。
かあっと顔が赤くなる。
そそそそ、そうだ…。
大和くんは私が好きなんだ…よね。
なんだか急に恥ずかしくなる。
「ちゃんと渡すんだよ」
「うん…」
せっかく作ったんだし、渡さなきゃもったいないよね。
うんうん、渡すだけだ。
前はそんなじゃなかったじゃん。
普通に話して、ほら、クリスマスの日だってケーキ渡せたじゃん。
あの時みたいにすれば大丈夫。
「ひーな、にーしーの。俺にチョコは?」
ひょこっと現れた高橋くんはチョコの催促をしてくる。
エサを待つ犬のように目をキラキラさせてるんだ。
「高橋くんどうぞ!」
もちろん、お世話になってる高橋くんにも作ってある。
他の子よりも少しだけ多く入れておいたのは秘密。