意地悪なきみの隣。


そして私と大和くん。
いつも2人でいても緊張なんてしなかったのに、今は心臓がバクバク。

気づけば私の目の前にいる大和くん。



「どーした、郁ちゃん」



私の頭を撫でる。
その手が、すっごく懐かしい。
大きくて少しゴツゴツした男の子の手。


この手。

間宮くんの手を止めて、求めたものだ。




「あ……あの、大和くん!これ…」




「やーまーとっ!」



私の声にかぶさるように後ろから高い声が聞こえた。



「雪乃先輩…」



大和くんがポツリと呟いた名前の持ち主は、あの日の女の人だった。

雪乃先輩……。



あ。思い出した。
どこかで見たことあったんだ。


体育館だ。
10月考査のあと、大和くんの練習姿を見に体育館に行った時。


コートの端で立っていた。


男子バスケ部のマネージャーさんだ。



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