意地悪なきみの隣。



「わかんないっす。敵わないんすよ、俺、こいつには」



2人にしかわからないお話が繰り広げられる。
か、か、敵わない?


大和くんでも敵わないものがあるの?



「ずーっと、昔からコイツしかいないんです」



「……もういいよ。行きなよ、バカ野郎」



ありがとうございます、と小さくおじぎをした大和くんは、私の手を握って歩き出す。


大和くんの行くままに私も歩く。


連れられたのはあの空き教室。
空き教室というか、選択授業で使っている教室。


でも今日は、昼からは使わない。

私の手を握る大和くんの手をキュッと握り返す。



もう、どこにも行かないでほしいよ。


するとクルッと振り返ってさっきみたいに目を丸くする。
私の目はさっきからずっとウルウルしっぱなしだ。


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