意地悪なきみの隣。



「俺のこととられたくねえんだ?」



ニヤニヤしながら髪を撫でる大和くん。
それはいつも私に意地悪してくる顔だ。


思い出して、顔が一気に赤くなる。


わ、わ、私、すごいこと言っちゃった。
なんてこと言ったんだ。



「それってさ、つまりはどういうこと?」



その顔、わかってるんだ。
わかってて言わせようとしてるんだ。


どこまでも意地悪だ。

恥ずかしくて顔を見れずに下を向いていると、突然しゃがんで顔を覗き込んできた。


ぱちっと目が合う。


どきっと胸の音が大きくなる。


何を言うわけでもなく、じーっと私を見つめてる。
なぜか目が離せなくてだんだんと涙が溢れてくる。



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