意地悪なきみの隣。
けどさ、西野のバカには通用しない。
体操服のことは知らないけど、動物園のことは覚えてる。
その『やまとくん』が俺だなんて思わずに。
『……それはないよ。だって、幼稚園のやまとくんと苗字が違うもん。中島くんはやまとくんじゃないよ』
こんなこと言われたらもうやるせない。
なんで?
こんなにヒントを出してるのに?
そりゃ苗字違うけどさ、面影とか…。
「自分から言えばいいのに、何で言わねーの?」
紙パックのリンゴジュースのストローを加える紘樹。
わかってねえな。
「それだとつまんねー。それっぽいことすんのって意外と楽しいし」
…まあ、疑われなさすぎて泣けるくらいだけど、この状況は状況でおもしろいし。
気付いた時の反応も長引けば長引くほどいいんだろうな。
早く気づいてほしいけど。
「ドSかよ…」
そろそろ待てねえとか思いながらも、楽しんでる自分もいる。
俺があの『やまとくん』だってことも、
俺がお前のことが好きだってことも
いつ伝わるんだろうか。