意地悪なきみの隣。




「…ごめんね、中島くん」



「ほんっとダサい。鈍臭い。へたくそ」



うっ…と涙目になりながら傷がある右足を出す。


2時間連続の体育会の練習で、見事に怪我をした西野。


クラス対抗の大縄の練習で縄に引っかかって綺麗に転んでた。



『中島が保健室連れて行ってあげなよ!』



市倉が俺を指名するから断るに断れない雰囲気。


仕方なくおぶって保健室まで来る道を『ごめんね』という言葉で埋め尽くす。


別に俺はいいんだけど。


それに市倉はわざと俺を指名したんだろうな…。



『ねえねえ、中島ってやまとくんなんでしょ?』



動物園に行った数日後、市倉にそう聞かれた。


なんで市倉が気づくのに西野は気づかないんだろう…。


俺のアピールはアイツの中では不思議なこととして終わってるらしい。



『大丈夫、わざと言ってないんでしょ?早く郁が気付くといいね〜』



肩をポンポンと叩いて、西野のところへ行った市倉。


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