意地悪なきみの隣。
そう約束すると開会式が始まった。
観覧席からトラック内に移動して太陽に肌を焼かれながら、先生や生徒会長の話を聞いてようやくプログラムに移った。
確か中島くんは200m競走だよね?
昨日は予選があって見事、組で1位になって準決勝に進んでた。
バスケ部は強制200m競走らしく、他の部活の子は少ない。
陸上部とも接戦だなんてすごいなあ。
私のことあんなに言ったんだから中島くんも頑張ってくれなきゃだよ?
観覧席に戻り後ろからキッと睨む。
隣の高橋くんと笑ってるから気づかれることはない。
『あの頃と何にも変わってないな』
保健室でのあの言葉を思い出す。
やっぱり中島くんはそうやって変なことを言う。
あの頃っていつ?
入学した時?
私その時何かしたっけ?
考えてみても何も思い当たることがない。
今まで何回も言われたそんな言葉は、いつになってもよくわからない。
本当にこの人は何を考えているのかな。
やまとくんとは、全然違うなあ…。
やまとくんとはそんな変なこと言わないのに。
名前が同じなだけで人が違うと似つかないものなんだね。
やれやれ、なんて思いながら競技を見ていると係りの人が招集をしに来た。
「200m準決勝に出場する生徒は入場門まで来てくださーい!」
元気な声を聞くと、おっ!と中島くんが腰を上げる。