意地悪なきみの隣。
「俺だ、行ってくる」
高橋くんの肩をポンと叩き移動して行く。
が、頑張れ中島くん!
後ろ姿にガッツポーズをして心の中でエールを送る。
準決勝に出場する生徒が入場門から走って入場し、次々と競技が行われる。
男の子もだけど…やっぱり陸上部の女の子は速いなぁ。
「あ、郁!次中島だよ!ほらちゃんと見なよ!」
隣に座る陽菜ちゃんに頭を掴んで無理やりスタート位置の方へと向けられる。
痛いよ!
頭をさすりながら見てみると中島くんがスタンバイしていた。
「わ〜…陸上部とバスケ部ばっかりだ…」
中島くんが一緒に走る人は陸上部かバスケ部しかいない。
「ちゃんと応援しなよ!」
「わかったよ〜!」
すうっと息を大きく吸うと、パン!というピストルの音が響き渡り走り出した。
「がっ……頑張れーっ!」
ああああ、やっぱり陸上部は速い。
ビュンビュンと前へ進んで行く。
トラック一周は長いようで短い。
だけど、陸上部からしたら一瞬なのかな。
「わー!やったあ!1位だよ!」
隣のクラスの女の子が、クラスの陸上部の男の子が1位で帰ってきたのを確認して大きな声で言う。
「中島くんは、3番目かあ」
2位までは陸上部が独占で、あとはバスケ部。
それでもすごいよ。
決勝は1位の人だけが進めるから、中島くんはいけなかった。