意地悪なきみの隣。
「借り物競争の生徒は入場門に集合してくださーい」
また係りの生徒が呼びかける。
私の番だ!
「陽菜ちゃん!行ってくるね!」
「郁頑張れ!1位だよ1位!」
胸の前でガッツポーズをする陽菜ちゃんは可愛いけど…1位は難しいって!
私、運動音痴だよ⁉︎
し、しかも、借り物競争だし誰かに話しかけなくちゃいけないし…!
頭の中でぐるぐる考えながら入場する。
トラック内に入ると心臓の音がすっごく大きく鳴ったのがわかった。
うわ、うわわ…。
すっごい緊張する!
トラックを半周して、そこで紙を引いて書かれてある物を持ってる人と後の半周を走らなきゃいけない。
一緒にって…そんなルールなら絶対にエントリーしてないのに!
心の中ではあ…と大きなため息をつきながらスタート位置に入る。
位置について、よーい…と先生の声が聞こえる。
バン!とピストルの音と同時に心臓が飛び跳ねそうになる。
は、走らなきゃ!
気づいた時には皆はビュンビュンと走っていて少し出遅れちゃった。
あっつい…。
見事なくらい晴天の中で私は全力で走る。
係りの人が紙の入った箱を持ってるのが見える。
よ、よし!
半周走り終えて息を切らしながら紙を引く。
いいのが当たりますようにっ!
四つ折りにされた紙をパッと開くと
『バスケットボール』
と書かれていた。
ば……ばすけっとぼーる…。
ん?
私、今日バスケットボールどこかで見たような…?
「誰か帽子持ってる人いない⁉︎」
「ウチワ持ってる人ーっ!」
そんな声が飛び交う中、私はトラックで1人考える。