意地悪なきみの隣。



「俺がなに」



肩にタオルをかけてやって来たのは中島くん。


朝練終わりで、額にはじんわり汗が。



「中島〜郁に勉強教えてあげてよ〜」



ひ、ひ、ひひひ陽菜ちゃん⁉︎


なぜかニヤニヤしながら中島くんに言う。


私が何も言えないのは陽菜ちゃんに手で口をおさえられてるから。


く、苦しいってば〜!



「……なんで俺」



素っ気ない言葉が返ってくる。



「だって頭いいじゃん!」



「……部活あるから」



……うう。


よくわからないけど、悲しくなるよ。

勝手に断られちゃった私の立場…。


思わず眉毛が下がる。



「5時」



「え?」



陽菜ちゃんが手を話すと同時にポツリと中島くんが呟いた。



「テスト前は部活は5時で切り上げだからそれまで待てるんなら教えてやってもいい」



誰の目も見ずに頭をポリポリとかく。


そんなことを言う中島くんを見つめるけどいつまで経っても目は合わない。


え……っと…。



「い、いいのっ?」



「嫌なら言わねーよバーカ」



もっともっと、素直になればいいのに。
少しだけ遠回りなんだよ。



「ありがと!」



そのまま高橋くんのもとへ行ってしまった背中に言う。


もちろん返事なんてないけどね。


私、今回はすごく頑張れる気がする。

だけど怖いなあ…。


あの中島くんが教えてくれるんだよ?

何言われるのやら……。


負けてられないけどねっ!!



「私、頑張るねっ!」



「頑張れ〜」



ニヤニヤしながら背中をバシバシ叩いてくる。


陽菜ちゃん朝からニヤニヤしすぎだよ!


そんな意味なんてわからないまま、チャイムが鳴って自分の席に座った。




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