意地悪なきみの隣。
「違うって!何回言えばわかんの?」
「ご、ごめんなさいっ…!」
午後5時。
部活終わりの中島くんのスパルタ授業が開講しました。
私の大嫌いな数学1のワークを開くと、意地悪なんてものじゃおさまらない中島くんが現れた。
「なんでこんなのも理解できねえの?だからバカって言われるんだよ、バーカ」
ううう…。
さっそく心が折れそうです。
私の正面に座る先生はため息混じりにそう言う。
中島先生…もう少し優しい言葉を…。
って、私が理解しないからだよね。
「こういうこと」
私がワークとにらめっこしていると、ルーズリーフを1枚ワークの上に置いた。
「ん?」
見てみると、綺麗な字で書かれた問題の解き方。
途中式もきちっと書いていて、解説も入ってる。
「と、解いてみる!」
ルーズリーフを見ながら同じような問題を解いてみる。
ちらっと中島くんを見てみると、窓の方を頬杖をつきながら眺めてる。
あっちぃ…と小さく呟くと、ふと思い出した。
そうだ…中島くん、さっきまで部活してたんだよね。
それなのにわざわざ図書室に来てくれて私に教えてくれてるんだよね。
本当は帰ってゆっくりしたいはずなのに。
わ、私、頑張らないと!