意地悪なきみの隣。
「あ…ない…」
あれ?あれれ?
カバンの中を探してみるけど、やっぱりない。
どうしよう…。
今、私の心臓はありえないくらいの速さでバクバクいってる。
「体操服…忘れちゃった…」
カバンに入れてきたと思ったのに。
ううん、私、今日の朝家で体操服に触ったよ?
ああっ!
小さい袋に入れて満足しちゃって、リュックに入れてくるの忘れてたんだっ!
私のバカ…。
5時間目体育なのに…。
しかも、体育会の練習だから見学なんでしてられないのに。
「郁どうしたの?そんな顔して」
私より後に来た陽菜ちゃんが私の顔を覗き込む。
きっと今の私は青ざめていると思う。
「体操服忘れちゃった…」
改めて言うと、本当に焦ってきた。
やだよ、体育の先生怖い人だし怒られちゃうのかなあ。
そう考えるだけで背筋がゾッとする。
あらら…と言う陽菜ちゃんはどこか変。
だって笑ってるんだもん。
友達の一大事に笑う友達がいる?
変なこと企んでないかな?