意地悪なきみの隣。



カバンからテストを取り出す。


苦手な現代社会、中島くんのおかげで81点取れたんだよ。


この点数なら花マルもらえるのにな…。



「花マル?」



「うん。いい点数だったら、花マルしてくれるって約束したの」



『じゃー俺がいい点取ったら花マルしてやるよ。これ、約束な』



動物園に行った帰り道に、そう約束したよね?


中島くんは覚えてる?


ねえ、中島くんは花マルしなくちゃいけないよ。


だから話しかけてよ。



「可愛い約束ね〜。中島も可愛いことするじゃん?だったら花マルもらいに行きなよ!今日中だからね!」



ぽんぽんっと私の頭を撫でてそのまま席へと座った。


ええ、今日中って〜…。


でも、このまま長引いても余計に話しかけにくいだけかな?


なんだかんだ言って私はきっと、中島くんと話したいんだ。



頑張れ自分。



そう自分に言い聞かせた途端、朝練終わりの中島くんが教室に入ってきた。


うわわわ!
思わず早歩きで自分の席に座って顔を伏せる。


意気込んだものの、目の前に来たらなんでか緊張しちゃうよ…。


だ、だ、だって、キスされたことを思い出しちゃう。


顔が一気に熱くなったのがわかる。




こんな調子じゃ今日中なんて無理だよ…。




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