意地悪なきみの隣。



「中島〜!」



やっぱり…!
陽菜ちゃんは変なこと企んでるんだ!


もしかして、またバカにされる⁉︎



「ちょっと…!陽菜ちゃんっ!しーっ!」



よく通る陽菜ちゃんの声は、もちろん友達と喋っていた中島くんの元に届いた。


うわわわあああ……。


友達の輪から外れてこっちへやって来る。


なに?と、陽菜ちゃんに聞く中島くん。



「郁、体操服忘れちゃったんだって〜。どうしたらいいかなあ?」



な、な、なんでそんなにわざとらしい聞き方なの?


ああもう、またヒドイこと言われるんだ。



「え、忘れたの?ほんとだっせえよな」



ほら。

ふっと鼻で笑ってくる。
バカにしてる証拠だ。


でも、こればかりは言い返せない。

だって本当のことだし。



「森本にでも怒られちゃえば?」



さらに追い詰めてくる。

森本先生は体育の先生で、怖いって有名。

身長も高くてガタイも良くて、オーラがすごい。

リンゴも潰せそうなくらい手も大きくて近寄りにくい感じ。


そ、そんな先生に怒られろなんて…私学校に行けなくなる…。



「どうしよ…」



泣きそうだ…。


仮病でもして保健室に行こうかな?

でも練習に出遅れるのも嫌だな…。


なんてたくさん考えてる間に中島くんは戻って行った。


なんだ…バカにしに来ただけって。

陽菜ちゃんが呼ぶから!



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